茶トラにブチ柄、白、黒、グレーなど
猫の毛色は実に多彩です
こんなにもバリエーション豊かな動物も
珍しいでしょう
建築とデザインは
切っても切れない関係ですが
猫にとっての毛色や柄も
重要な要素を秘めています
なぜ猫の被毛は多様化したのでしょうか?
今回は不思議に満ち溢れた
猫の毛についてお話ししたいと思います
■多種多様に変化した猫の柄
そもそも猫の柄は
キジトラが始まりと言われていて
当時砂漠で生活していた猫にとって
保護色となっていました
人と暮らすようになってからは
その必要性がなくなったため
キジトラから派生した柄が
徐々に増えていったのです
ちなみに平安時代の絵画や書物には
キジトラ、キジトラ白、黒、黒白の
4種類登場しますが
それ以外の柄は確認できないそうです
これは江戸時代以降に海外から持ち込まれて
多彩な柄が日本に広まったから
と考えられています
■無限に広がる遺伝子パターン
猫の被毛は大きく分けて
色柄を決める9個の遺伝子と
毛の長さを決める1個の遺伝子から成り立っています
ここではメインとなる10個の遺伝子について
詳しく見ていきましょう
① B遺伝子/毛色を黒くする
黒色の元となる「ユーメラニン」という色素の生成量を決めます。
② W遺伝子/毛色を白くする
影響力がとても強く、他の色をマスキングして毛色を真っ白にします。
③ O遺伝子/ 毛色を茶色にする
Oは茶、oは黒を発現させる遺伝子で、どちらも性別を定めるX染色体上にのみ存在します。オスはこのどちらかしか持てないので、三毛猫は基本的にメスしか生まれません。
⑤ A遺伝子/縞模様の有無を決める
優性Aは1本の毛に縞が入る「アグチパターン」という模様になります。この柄は、イエネコの祖先と言われているリビアヤマネコと同じです。
⑥T遺伝子/シマ模様の形状を決める
トラのような縞模様を持つ猫、という意味のTabbyが名前の由来です。優性は縦縞(マッカレルタビー)、劣性は渦巻き模様(クラシックタビー)が現れます。
⑦I遺伝子/毛の根元を白くする
Inhibited(抑制)という意味で、色素を抑制する働きを持ちます。優性になると根元の色がシルバーになります。
④ D遺伝子/色素を薄くする
Dilute(薄める)とDense(濃度)の2つのDが語源です。優性となるDは被毛を濃い色味にします。また劣性ddは茶色はクリームに、黒はグレーに薄めます。
⑧S遺伝子/白斑模様を作る
Spots(白斑)の頭文字をとっています。優性は部分的に白くするので白斑もしくはバイカラーになり、劣性は白斑のない単色になります。
⑨C遺伝子(濃い色をどこにつけるかを決める)
部分的に濃い色が現れるという意味から「Color Point」のCに由来。優性は濃淡の少ないフルカラ―になり、劣性は耳や足先など体温の低いところが色付きます。
⑩L遺伝子(毛の長さを決める)
Long Hairの頭文字をとっています。優性のときは短毛に、劣性は長毛になります。
■偶然が生み出す生命の神秘
毛色の遺伝子は非常に複雑で
わずかな変化にも影響されてしまうため
化学の力をもってしても
全く同じ柄にならないのです
そのためクローンをつくっても
まったく同じ柄の猫をつくることはできません
また上記で三毛猫のメスについて触れましたが
反対にオスに多い柄もあります
茶トラや茶白はオスの方が比較的多く
メスとして生まれる割合は約2割程度だそうです
様々な要因が絡み合った結果
世界に二つとない被毛を持って
猫はこの世に生まれてきます
そう考えると
猫の柄一つとってみても
感慨深いものがありますね